貯金以外の方法も考えないといけないかも

投資

貯金とインフレ

インフレとはインフレーションの略で、物価が持続的に上昇していく状態です。物価の上昇とともに所得も上がれば経済成長のために必要と考えられています。
インフレになっても、銀行に預けているお金が減ることはありません。しかし、インフレによる物価上昇はお金の価値が下がることにつながるため、インフレが続けば所有している貯金の価値が下落するリスクがあります。
日本銀行はデフレ脱却のため、物価上昇率の年2%アップを掲げてきました。まだ、目標達成には至っていませんが、色々な要因によって物価は着実に上昇している状況です。

物価上昇のリスク

日本の物価上昇は今後も続くでしょう。物価上昇が続くと市場に出回るお金の総量が増えた分、価値が下がっていくことになります。例えば、今まで100円で購入できた商品の価値は、物価上昇率が200%になると2倍の200円になることを意味します。政府が目指す2%の物価指数が10年続くとしたら、1万円の商品が1万2,190円に、30年後になると1万8,114円の価値になるという試算です。年率2%は小さく感じるかもしれませんが、長期的には無視できない数字です。
物価が上がれば企業は儲かるので、賃金もアップするでしょう。働く力があるうちはいいのですが、働けなくなった場合を考えると、できるだけ早い段階で生活資金をどうするか考えておかなければなりません。
現時点で十分な貯金があったとしても、物価上昇により今後、お金の価値が下がるリスクを考えると万全とはいえないでしょう。

インフレに強い資産はあるのか

物価が上昇するインフレは預金の利息だけでは上昇分を補うことは困難です。
インフレ対策として考えているのが投資です。株式や不動産など、短期的にみるとリスクは大きいですが、中長期的なインフレによる資産の目減りを防ぐ効果があるとされています。

株式投資

株式会社が発行する株式を売買して、配当金や値上がり益などで利益を得る投資方法です。
株式の場合、中長期的にその企業の業績に反映した動きをするといわれており、インフレによって売上や利益が増えることで、株価の上昇要因になると考えられます。
短期的にみるとインフレで株価が上がるとは限りませんが、中長期的にみると株式は物価上昇率を上回って上昇しやすい傾向があるとされています。

不動産投資

不動産投資は物件を賃貸または売却して収入を得る方法で、物件の購入に費用がかかりますが、借主がいる間は安定して収入が得られます。
不動産は景気の影響を受けにくいとされているため、インフレ対策として有効な方法です。
現在のように経済の先行きが不透明な状況だと、現金以外の資産を持って安定的な収入を得るため、不動産投資の人気が上がり価格が上昇しやすい傾向にあります。
ただし、空き室や災害によるリスクもあるので、事前に知識が必要です。

その他の投資

株式投資や不動産投資以外にも債券や金(ゴールド)なども投資の対象として挙げられます。インフレ対策には値動きが異なる複数の資産に分散して投資することです。
ある資産が下落してもほかの資産でカバーできるため、リスクを分散できます。中長期的に考えた場合、特定の資産や銘柄に集中しないようにしたいところです。

投資のリスク

投資にはリスクがあります。一言でリスクといっても様々な種類があるので、正しく理解することが大切です。投資におけるリスクとは危険や損失のことではなく可能性のことを意味しています。

株価変動リスク

株式の価値が上下する可能性のことです。株価の変動は日本はもちろん、世界各国の景気や経済の動向、政治や経済の情勢、株式を発行する企業の業績など、様々な要因で変動します。

信用リスク

株式や債券、国債などを発行している国や企業が、財政難や経営不振などを理由に投資家から預かったお金(元本)や利息の一部または全部を返済する能力がなくなる可能性のことです。

流動性リスク

市場で金融商品を売りたいのに売れなかったり、希望した価格で売れない可能性のことです。

金利変動リスク

金利の変動によって債券の市場価値が変動する可能性のことです。金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が低下すると債券価格は上昇します。

為替変動リスク

外国の異なった通貨の為替変動によって、外貨建ての円換算による金融商品の価値が変動する可能性のことです。

貯金と投資の割合について

リスクを踏まえたうえで初めて投資をする場合、どのくらい資金が必要なのでしょうか。貯蓄額や収入の状況によっても異なるため、配分を適切に決めることが大切です。

使う目的と時期から考える

お金を使う目的と時期を明確にすることで、どのくらい投資に回して問題ないかなど、資産運用の計画を立てやすくなります。
具体的には、生活に必要な当座のお金、将来使う予定のお金、当面使う予定のないお金で考えてみましょう。

生活に必要な当座のお金

これは何かあった場合に備えておくお金です。例えば食費や家賃など毎月かかる生活費や、ケガや病気の治療費などが該当します。
備えておくお金の目安は月々の生活費の3カ月~1年分で、毎月の生活費が20万円なら60~240万円ほど準備しておきたいところです。
必要になったらすぐに使えるように、預貯金で準備しておくといいでしょう。

将来使う予定のお金

使う時期と使い道が決まっているお金です。必要な時に準備したいお金として子どもの教育資金やマイホーム、リフォーム費用が該当します。
将来使う予定のお金を投資に回していいのか考える場合、使う時期が基準です。使う時期が1~2年の場合、流動性の高い預貯金にしておくといいでしょう。
使う時期が大分先の場合、投資に回すことも検討していいかもしれません。

当面使う予定のないお金

現在保有している資産や収入から生活に必要な当座のお金と将来使う予定のお金を差し引いた金額です。このお金は当面使い道の決まっていないお金のため、比較的自由で投資に回せます。

投資のポイントは中長期的な視点にたつこと

積極的な資産運用は必要ですが、短期的な利益を目当てにギャンブル的な株式投資は失敗すると悲惨な結果を招きます。
例えば株式投資だと短期間で急騰する銘柄を絶妙なタイミングで売買できれば、資産を2倍3倍に増やすことも可能です。しかし、急騰した株式がその後急落したり、ずるずる下がっていくのはよく見られるパターンです。急騰している銘柄に慌てて飛び乗ると、失敗したときの損失も大きくなります。
資産形成のために投資を始めるなら、中長期的な視点にたって、資産を増やすことが大切です。中長期的に資産を増やすには失敗を避けることが重要で、大きく失敗すると取り返すのに時間がかかってしまうからです。
5~10%の値上がりはよくあることですが、2倍になるのは多くありません。時間をかけて積み上げていくのが大切になります。
大きな失敗をしないためには、大きすぎるリスクを取りにいかないことです。目先の欲に目がくらみ急騰している銘柄に飛び乗るような買い方はやめたほうがいいでしょう。

投資のリスクを減らすための投資方法とは

投資ではリターンを得るためリスクが伴います。このリスクを上手くコントロールして、コツコツお金を増やしていきましょう。

長期投資とは

その名の通り、コツコツ資産形成をするため長期的に金融商品を保有し続ける投資方法です。株式だと短期的にリターンが大きく変動することもありますが、長く保有することでリターンの揺れ幅が小さくなり、安定した収益を得ることが期待できます。
また、長期的に保有することで受け取る配当金や株主優待の回数も多くなり、結果として利益の積み上げになります。

積立投資とは

自分が決めたタイミング・金額で定期的に金融商品を購入する投資方法です。積立投資には定量購入する方法と、定額購入する方法があります。
特に定額で購入する方法はドル・コスト平均法といい、購入時期を分散することで価格変動リスクを低減させる効果があります。

分散投資とは

投資先や購入する時期を分散することで、価格の変動を抑え、安定してリターンを得る方法です。株式や債券、投資信託など複数の金融商品を組み合わせる資産の分散。
日本国内と国外、国外でも先進国と新興国のように、複数の地域や通貨の商品を組み合わせる地域の分散。積立投資のように複数のタイミングで購入する時間の分散の3つの方法があります。
この3つの分散を組み合わせることで、リスクをコントロールし、損失を抑えることが期待できます。

小額投資から始めよう

投資経験がない人が投資を始める場合、小額投資から始めてみましょう。
投資と聞くとまとまった資金が必要なイメージを持っているかもしれませんが、投資商品によっては1,000円程度から始められます。
具体的な商品として投信積立があり、証券会社や銀行などで取り扱っています。積立額は月額1,000円からが主流。ほとんどの証券会社が普段利用している口座から手数料無料で引き落としをしてくれるので利便性も悪くありません。
証券会社で購入できる株式も積立購入が可能です。通常株式の購入は各銘柄の1単元(100株か1000株単位)×株価となっています。
しかし、株式累投投資は株式数や株価に関係なく、1銘柄につき毎月1万円以上1,000円単位で買い付けが可能です。
積立以外にも通常より小額で売買できる小額投資商品もあります。ミニ株は単元株の10分の1単位で購入可能です。
小額投資の注意点はコスト管理で、株式だと売買手数料が割高になってしまうことがあります。NISA(小額投資非課税制度)を利用すれば売却益や分配金、配当金が非課税となります。1年間120万という枠は小額投資なら十分です。
つみたてNISAの投資枠は年間40万円ですが、20年間の積み立てが可能で長期投資に向いています。

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